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微細SLS造形装置の開発

目的

 樹脂粉末を用いた粉末焼結積層造形法(Selective Laser Sintering,以下SLS法)では光造形法と違い熱可塑性を持つ多くの材料を使用でき,PA12等を材料としたもので衝撃強度の高い造形物が作成できる.しかしSLS法は材料の粒子径以下の造形を行うことができず,またレーザを照射した粉末から周囲の粉末に熱が伝導するため光造形法に比べて造形の微細性に劣る.高い強度の造形物が得られることから機能部品の試作品や国外では少量品の生産,いわゆるラピッドマニュファクチュアリングに使われ始めているが,国内ではSLS法の微細性の低さから行われていない.これまで微細な造形は光造形で行い,粗い造形はSLS法で行うという固定概念から,SLS法の微細性を向上しようとする努力があまり行われておらず,SLS法のレーザビーム径は市販の造形機で400μmと大きく,微細な造形を行うことができない.一方小型のビーム径を使うことで金属粉末材料のSLS法は研究が行われており,20μm程度の解像度を得ている.そこで筆者らは100μmのレーザビーム径をもつ造形機械による樹脂を材料とする微細な造形の可否を検討した.また筆者らは細胞培養用担体に用いる生分解性樹脂による微細流路の造形を考えており,同様に生分解性樹脂を材料として小型ビーム径での微細造形の可能性も検討している.

実験

 大小2種類のレーザビーム径の造形装置を用いて比較実験を行った.後述する2種類の粉末でビーム径400μmの造形機とビーム径100μmの実験機を用いて焼結された壁の厚さを測定した.

装置

 市販のCO2レーザマーカ(KEYENCE製ML-G9320)を用いて造形装置を作成し実験を行った.レーザマーカのビーム直径は100μm,最大出力は30W,スキャン速度の最大値は6m/sであり,焦点からレンズまでの距離は110mmである.また照射される範囲は最大55mm×55mmである.この造形装置における焼結部品を沈下させるパートベッドはステッピングモータによる自動ステージを使用し,最大移動量は30mm,分解能は1μmである.造形装置の基本構造図を図 1に,外観を図 2に示す.
 また,400μmのビーム径を持つ造形機(株式会社Aspect製,SEMPlice(試作機))を比較のために使用した.

造形装置概念図
図 1 造形装置概念図
造形装置外観
図 2 造形装置外観


材料

 造形には大きいビーム径の装置との比較用にPA12(DuraForm,3D Systems製,以下PA12)と,生分解性樹脂の造形試験としてポリカプロラクトン(プラクセルH5,ダイセル化学工業製,以下PCL)を使用した. PA12の融点は約185℃で,平均粒子径は60μm程度である. PCLでは平均粒子径50μmの粉末を使用して微細なスリットの造形の可否も検討した.

実験結果

 PA12粉末を用いてビーム径400μmの造形機とビーム径100μmの造形機で造形を行い,できた造形品の壁厚さを比較した.モデルの壁厚さ200μm,レーザエネルギー4.0 mJ/mm2で造形したところ図 3のような壁厚さ280μmの造形物が得られた.400μm程度のビーム径を用いた造形では図 4のような最小でも850μmの壁になるため,1/3程度の微細化が可能と考えられる.

レーザ径400μm
図 3 レーザ径400μm
レーザ径100μm
図 4 レーザ径100μm

 また,実際に同じ造形装置で図 5のようなスリット幅300μmのサンプルを作成できた.

レーザ径400μm
図 5 造形サンプル

今後の展開

 現在の造形機械ではスポット径の小型なレーザを用いる場合,照射可能範囲を大きくできない.今後この造形機械に改良を加え,大型で微細な部品の積層造形の研究を行っていく.




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