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再生医療の分野に病気等で機能損失に陥った臓器を自己の細胞を起点として体外で培養し,成長したものを患者の体内に移植して臓器として機能させることを目的とした治療法がある.このとき,細胞を培養するための"足場"の役割をするものがScaffoldである.Scaffoldとして用いるために要求される機能として,以下の3点が挙げられる.1点目はできるだけ多くの細胞を保持できるように高空孔率な多孔質体であること,2点目は細胞に栄養を供給するための細かな流路を内部に保持していること,3点目は最終的に体内に戻した時に速やかに分解し,細胞と置き換わるよう生分解性の樹脂で作成することである.Scaffoldの造形には複雑な形状の造形を得意とする積層造形法が向いており,中でも種々の樹脂粉末を材料として使用できるSLSは再生医療の分野においても注目されている. 本研究室では,生分解性樹脂に水溶性フィラを混合した材料を用いてSLS造形を行い,造形後にフィラを溶出することで空孔率を高める手法を用い,内部に流路ネットワークを有する高空孔率な多孔質体を製作する研究を同大酒井研究室と共同で行っている.
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作成したScaffold
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内部のX線CT像
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樹脂粉末を用いたSLS法では光造形法と違い熱可塑性を持つ多くの材料を使用でき,ナイロン粉末等を用いることで衝撃強度の高い造形物が作成できる.しかしSLS法は材料の粒子径以下の造形を行うことができず,またレーザを照射した粉末から周囲の粉末に熱が伝導するため光造形法に比べて造形の微細性に劣る.高い強度の造形物が得られることから機能部品の試作品や国外では少量品の生産,いわゆるラピッドマニュファクチュアリングに使われ始めているが,国内ではSLS法の微細性の低さから行われていない.そこで筆者らは,100μmのレーザビーム径をもつ微細SLS造形装置の開発を行い,樹脂粉末の微細造形の可否について研究している.
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レーザ径400μmで作成した壁
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レーザ径100μmで作成した壁
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SLSでは熱可塑性樹脂粉末に選択的にレーザ光を照射し,粉体表面を部分的に溶融・再固化することによって,隣接する粉体同士を結合して3次元形状を造形する.この方式では造形物が多孔質にならないようにすることは困難であり,このため素材粉末として透明な樹脂を利用したとしても造形物は透明にならない.この問題を解決するために本研究室では,造形物に樹脂を含浸することにより透明化する手法を研究している.
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透明化前のSLS造形品
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透明化したSLS造形品
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SLSでは熱可塑性樹脂粉末に選択的にレーザ光を照射し,粉体表面を部分的に溶融・再固化することによって,隣接する粉体同士を結合して3次元形状を造形する.この方式では造形物が多孔質にならないようにすることは困難であり,強度など物理的性質は射出成形などにより作られる中実な部品とは大きく異なることが多い.この問題を解決するために本研究室では,石膏を用いたSLS造形品の高密度化手法を研究している.
高密度化したSLS造形品
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東京大学生産技術研究所 新野研究室
東京大学大学院 工学系研究科 精密工学専攻
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